スウェーデンのカロリンスカ研究所は6日、2025年ノーベル生理学・医学賞を京都大名誉教授で大阪大免疫学フロンティア研究センター特任教授の坂口志文氏(74)ら3人に贈る、と発表した。
日本のノーベル賞受賞は、21年に物理学賞に選ばれた真鍋淑郎氏に続き29人目。生理学・医学賞では1987年の利根川進氏、2012年の京大教授の山中伸弥氏、15年の大村智氏、16年の大隅良典氏、18年の京大特別教授の本庶佑[ほんじょたすく]氏に続いて6人目となる。日本人初のノーベル賞受賞者湯川秀樹をはじめ京都にゆかりのある受賞者は坂口氏で16人になった。
受賞者には賞金計1100万クローナ(約1億7千万円)が贈られる。授賞式や晩さん会は、12月10日にスウェーデン・ストックホルムで行われる。
坂口氏は、免疫システムが自己の細胞を攻撃するのを防ぐ仕組みの一端を解明した。1995年に攻撃を抑える特異なリンパ球「制御性T細胞(Treg)」の目印となる分子を見つけて論文に発表。現在、Tregがうまく機能せず、自己免疫疾患などの原因となる仕組みを調べる研究が進んでいる。臓器移植をした患者の免疫抑制やがん、アレルギー治療への応用も期待され、医療現場での使いやすさを念頭にヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から効率的にTregを作製する技術の開発も進んでいる。
滋賀県びわ町(現長浜市)生まれ。76年京都大医学部卒。愛知県がんセンター研究所研究生や米ジョンズ・ホプキンズ大客員研究員、米スタンフォード大客員研究員などを経て、95年から東京都老人総合研究所免疫病理部門部門長を務めた。99年京大再生医科学研究所(現医生物学研究所)教授、2007~11年同所長。11年4月に大阪大免疫学フロンティア研究センター教授に就任し、現在は同センター特任教授。
15年にガードナー国際賞、19年に文化勲章、20年にロベルト・コッホ賞。
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