韓国軍合同参謀本部は31日、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射したと発表した。大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられるという。日本政府も同日、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと明らかにした。
石破茂首相は、国民に対する迅速な情報提供や、航空機、船舶の安全確認の徹底などを関係省庁に指示した。
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借款を引き継いだロシアが、経済悪化により償還が厳しくなると、その代替的手段の1つとしてロシアの防衛装備や技術導入によって償還するようになります。 1995年以降、債務償還の代わりとしてロシアからT80U戦車やBMP-3歩兵戦闘車などの装備品が韓国に渡り現在も韓国にあります。この協力事業は「プルゴム(ヒグマ)事業」と名づけられています。 その後、韓国とロシアの間では、1996年に「国防協力協定」、1997年に「軍事技術分野・防衛産業・軍需協力に関する協定」、2001年に「軍事秘密情報の相互保護に関する協定」、2005年には「地対空誘導武器体系協力事業の相互協力に関する協定」などが締結されました。
ウクライナ戦争開戦前の2021年には、韓国とロシアは「国防協力に関する協定」を条約として再び締結していて、この分野における両国関係はつい最近まで実態があったことがわかります。 裏を返せば、韓国政府にとってはロシアによるウクライナ侵攻がいかに「寝耳に水」だったかが想像できるでしょう。 ――そういったロシアとの協力関係で成果を得られた韓国軍の装備・兵器にはどういったものがありますか。 代表的な装備品の中では前出の「天弓」地対空ミサイルが挙げられます。また、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)とそれを発射するための「垂直発射装置」(VLS)、これら装置を備えた潜水艦です。
■コールドローンチ技術はロシアから
天弓はミサイル本体を噴射ガスで射出した後、そこから本体部分が発射される、いわゆる「コールドローンチ」といわれる技術が使われています。おそらくこうした技術は2005年に締結された「地対空誘導武器体系協力事業の相互協力に関する協定」に基づいて技術がもたらされたかもしれません。
2018年9月に就役した韓国海軍潜水艦で独立運動家の名前を取った「島山安昌浩」(トサンアンチャンホ)が、2021年9月に同艦からのSLBM発射に成功したと発表しました。
――ミサイルに関して、北朝鮮の一連のミサイル開発・発射の過程と、韓国軍は軌を一にしているように見えますね。 2018年1月に金正恩・朝鮮労働党委員長が韓国・平昌オリンピックへの参加を表明すると、一気に南北融和の空気が流れました。当時日本では文在寅政権の対北融和姿勢への警戒感が支配的でした。 しかし実はこの間、北朝鮮はICBMなどの長距離射程ミサイルの発射を自重した反面、短距離弾道ミサイルや極超音速ミサイルなどを発射するようになりました。
同様に、韓国もそれに触発されるかのように、SLBMや各種ミサイルなどの開発を進め成功していたわけです。文政権後期には韓国が保有するミサイルの射程と弾頭量を制限してきた「米韓ミサイル指針」が2021年5月に開かれた米韓首脳会談で撤廃されました。 今年10月の韓国「国軍の日」での軍事パレードで最も注目された装備は「玄武-5」と呼ばれる弾道ミサイルでした。弾頭重量が8トンを超えるバンカーバスター型の強力な破壊力で、北の地下指揮所を破壊して指導部にダメージを与えるとされています。
――2024年の韓国の国防費は日本円で約6兆7000億円。日本は約5兆円ですので、日本を超える規模となりました。また防衛産業も武器・装備の輸出にも力を入れ、前出のポーランドなどの欧州、UAEなどの中東、そしてインドネシアなどアジア各国で市場を拡大させています。 その通りです。今回、もし北朝鮮軍の部隊が実戦に配備されれば、そこで得られた北朝鮮軍の経験は、韓国軍にとって大きな脅威となるでしょう。その理由は、韓国製の価格の手頃さや性能は世界水準であり高く評価されています。
■ハイレベルな支援を行うことも また日本よりも先んじて、AIやドローンなどの最先端技術を軍事分野に導入することに積極的です。しかしながら、韓国軍は最新の現代戦での実戦経験がないことに変わりはありません。 韓国政府はウクライナでの北朝鮮軍の活動状況に応じて、ウクライナへ直接的な軍事支援を検討するとしています。戦局が激しくなり、実際に北朝鮮兵士の活躍が戦場で見えるようになるとすれば、韓国側も緊張を高め、支援もハイレベルになる可能性は十分にあります。
北朝鮮兵士の実際の能力が明らかになることは、朝鮮半島で北と対峙している韓国の脅威認識と連動します。
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